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鳩の撃退法を富山在住が見てラストシーンに疑問しかない

この話の共通認識として、「津田のみが見ているシーン」もしくは「津田が全く出てこないシーン」は嘘をついている可能性がある。「津田と他の人物が体験しているシーン」は事実という前提で私は考察していると覚えておいてほしい。

この記事は映画を見た人に向けた内容なので、映画のあらすじなどは書いていません。
映画を見たあとに、ひとつの考察として読んでください。

まずラストシーンに疑問

ラストシーンが最も疑問だった。

高円寺のバーに幸地が来店し、本を預けて何も言わずに去っていく。幸地を追って津田が町を走る。車に乗りこむ幸地を見つけて、津田と幸地は見つめ合う。

わざわざ倉田まで一緒に本を返しに東京に来ることはあるだろうか。
そもそも倉田があの本を持って移動するのが考えにくい。倉田の本命は偽札であり、3,000万は謎の札束。さらに本も謎。事情を知らない倉田は本はとりあえずバーに置いておく、もしくは処分するのが普通だろう。どちらにせよ倉田が幸地に渡すというケースが起きないように感じるので、幸地がバーにあった本を回収するのが自然だと考える。

倉田は特に、思い入れのある本であると知るのは、後半の幸地と倉田が車で埠頭?のような場所に行く場面だ。「借りられなかったのが残念だ」という言葉に共感して、他人から他人への好意のために東京まで来て、本を返すことがあるだろうか。そもそもこのシーン自体、事実と補強する要素はまったくない。

その他にも、担当編集の鳥飼と津田は、車に乗りこむ幸地を発見するのでこのシーンは事実と感じるかもしれないが、鳥飼が観測したというシーンがない。そもそも鳥飼は幸地の顔を知っているのか疑問。

つまりこのラストシーンは津田が創作したシーンということを連想させる。男が本を返したという点は事実だが、幸地が倉田の車に乗り込むというシーンは事実ではない。

どうしてこのシーンを創作したのか

このシーンを創作した理由として、「幸地を善人として描きたかった」という点に行き着いた。
津田は全員死なない事実と違ったハッピーエンドを創作した。幸地とその妻は逃亡する。郵便局員も車で逃げる。その後、幸地と倉田は和解し、もとの関係に戻る。というようなストーリーにしたいのではないか。

幸地が本を持っている点から、和解説が濃厚。幸地は死んでいないし、本は幸地以外返す理由がない

蛇足:オール富山ロケだそうなので仕方ないけど

このシーンは、東京の高円寺にあるバーからスタートしているが、津田と幸地が再開する場面のカットは完全に富山県。富山大和の41号線側の道に間違いない。
明らかに違和感のあるシーンだ。

違和感を感じたから、実はバーは高円寺ではなく富山県にあったという考察を一瞬してしまった。津田、鳥飼、バーの店長の加奈子、富山県の床屋が「高円寺のバー」と認識しているから。
高円寺って富山市街地に似ているのだろうか。

実際の事件は何が起こったのか

津田のストーリーではだれも死ななかったが、実際に死体は出ている。ダムの底から上がった男女の水死体。
死体は私の予想では、幸地の妻と郵便局員の2人。

この2人は結局のところ、不貞が見つかり幸地と倉谷殺されたのだろう。

番の鳩は偽札ではなく2人

津田は倉田からの伝言で「つがいの鳩の行方を知っているか?」と聞かれていたが、3枚の偽札のうち、2枚のことをわざわざつがいと呼ぶだろうか?
元々2つセットであればつがいと言えなくもないが、3枚で保管されていたのであればそのうち2つをつがいとするのはオシャレがすぎる。

「つがいの鳩」は偽札の2枚のことではなく幸地の妻と郵便局員のことで、「幸地の妻と郵便局員を目撃していたか?」と聞いたのではないだろうか。

偽札の件もあり、津田にとってドラマチックな謎の展開になった段階で、ただの痴情のもつれの殺人というチープなストーリーの主人公にはできず、幸地は善人として描かれることに決まった。

津田伸一が書いた小説は、どこまでホントだと考えるか?

偽札のあたりは本当。幸地が倉田に妻の妊娠について話をしたあたりから真実ではない。

津田伸一はなぜタイトルを『鳩の撃退法』とつけたのか?

以前の本で訴訟になりそうになった(訴訟になった?)という事実があるが、それが関わってくるかと思う。

「俺は真実を知っているが、正しいことは書かずにフィクションとして落とし込むぞ」
という行動が鳩の撃退法なのだと考察。「偽札にまつわる人物・環境=鳩」として、実際の事実とは違った内容を真実として公表することで、鳩と関係を断ち切りたいという表明となる「鳩の撃退法」としたのかもしれない。

まとまっていない疑問

・なぜ「5555」と南京錠に入れたあとに「0229」と入力して鍵を開けるのか。普通は0000から試したら0001、0002と順番に行くのではないか。
・沼田はSDカードの中身を見たと言っていたが、それは関係があったのか
・一回なぜ偽札を燃やしたことにしたのか→嘘と本当があるという映画の脚本上の演出?
・鳥飼という名前は意味深だが、意味は特になかったのか