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靴は伸びると言っても素材や形状に影響される

靴は伸びるというが、素材による

「靴は伸びるからちょっときつくても大丈夫」とよく聞く言葉ですが、一概に伸びるとは言えません。素材によって大きく違います。

合成皮革は伸びない


合成皮革製の靴はほとんど伸びません。
合成皮革とは布地に合成樹脂を塗布した、天然皮革に似せた素材です。フェイクレザーや人造皮革、ヴィーガンレザー、シンセティックレザーなど様々な呼び方があります。
布地は伸びるのですが、それに樹脂をコーティングしているので柔軟性は下がり伸びなくなります。

ちなみに昨今では、ストレッチレザーと呼ばれる伸びる合成皮革もあります。ロングブーツなどで使われていることが多い素材ですが、ベースの布地が伸縮性の高いものなので伸びるそうです。ただし、合成皮革なので劣化した際にポロポロと崩れます。

本革は伸びます


対して、本革は伸びます。本革とは動物の革を鞣(なめ)した素材なので伸びます。人間も太ればそれに伴って皮膚が伸びるように。
ただし、本革ならば等しく伸びるというわけではありません。薄くて柔らかい羊の革と独特の素材感のワニの革では伸び方が違います。また、一口に牛革といっても、その牛の種類や年齢、性別などで素材の名前が変わるほど質に差があります。さらにお腹なのか背中なのかお尻なのか、革の部位によっても影響します。

ただし革の加工方法でも違いがあります。ビジネスシューズなどで使われるスムース、ブーツなどで使用されることの多い起毛させたスエードなど柔らかさや厚みが影響します。また、裏地がしっかりしている場合は形の変化が起こりにくいですし、逆にクタッとした柔らかい履き心地の靴は当然伸びやすいです。
エナメル加工された靴は、革にエナメル塗料を塗っているので合成皮革と同じように本来よりも伸びにくい状態になります。

合成皮革が伸びたのではなく型くずれしている

「合成皮革の靴だけど、足に合わせて伸びた経験がある」
合成皮革も本当に多少は伸びますが、基本的には型くずれしていると考えてもらって正解です。通常の形状から足の形のクセに合わせて変形します。
外反母趾の人の足に合わせて、親指側が伸びて小指側が縮んだように感じるように変形していきます。どちらかにゆとりがあればいいのですが、全体的にパツパツの場合は良い感じにもならず履きにくいままになります。

縦は伸びないが横は伸びる

前提として覚えてほしいこととして、靴は縦には伸びないが横には多少伸びるようにできているということです。
一般的に靴には「つま先」と「かかと」に芯材が入っています。入っていない靴もありますが。この芯材は靴に足をフィットさせるのに非常に役立っているとても大切なパーツです。これがないと靴の中で足がブレやすく、なんとなく歩きにくいと感じるはず。
芯材が入っているおかげで、つま先とかかとは変形や型崩れがしにくいです。なので、靴の作りとして縦には伸びにくいのです。

「デザインが可愛いから、本当は23.5cmの靴がぴったりだけど23.0cmの靴を買う」というのはおすすめできないのはこの理由からです。

変わって、幅は伸びます。芯材がないからです。
「サイズは合うけど、横幅がちょっときついかも」という方は、その靴が足に馴染んで良い感じになる可能性があります。
必ずなるとは断言できないのですが。

本当はピッタリの靴が良い


合成皮革の靴を買うなら試し履きの段階でピッタリの靴を選ぶと良いです。
本革の場合は伸びることを前提としてちょっと小さめの靴を買う方もいます。本革の場合は、素材との相談の部分も大きいかと思います。

例えばBIRKENSTOCKのBOSTONを愛用していますが、この靴はスエード革一枚のアッパーなので、だんだん伸びてしまい、使うにつれて段々とベルトをきつくしています。

形状や素材と相談して選択することで長く使える靴を判断していくには経験が必要な部分もあります。経験豊富そうな店員さんに相談してみることもおすすめです。

迷ったらとりあえず一番ピッタリとくるサイズが良いと思います。