靴屋で働いていたことがあるのですが、
「なんで靴紐を結ばずに、内側に入れているの?」
と尋ねられたことが何度かあります。
確かに「試し履きするときに紐をどうしたらいいかわからない」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。なぜこんな結び方をされているのか、ためし履きをするときはどうしたらいいのか、どうやって結ぶのか。以上3点をこの記事では解説していきたいと思います。
なぜ靴紐を内側に入れているのか
靴紐を内側に入れているのは簡潔に述べるなら「管理のしやすさ」が理由です。
靴紐というのは意外とやっかいで、
・きれいな蝶々結びを作る手間
・靴が棚に大量に陳列されたときの紐の視覚的な煩わしさ
の2点が主な原因です。
まず、いちいち蝶々結びをしていくのがとても大変です。
靴の入荷時に蝶々結びになっているのは非常に珍しく、基本的には靴紐をまとめているだけの状態で入荷してきます。
それをいちいち結び直して展示していくのは非常に大変です。左右の長さや、縦結びになっていないかなど気にするポイントが多いのは大変。汚い蝶々結びだと、なんだかユーズド感が出てしまって、購買意欲もそそりませんよね。
靴屋に来店する人は、ためし履きを当然するので、履いては結び直し履いては結び直しと繰り返すのも非常に手間。
次に、雑コラで作ってみたのですが、明らかに紐がないほうが見た目的に煩わしさがないと思いませんか?
現実だとさらに紐の長さや紐の色、靴の色などが混ざってくどさが増します。紐がまとまらずに置いてあるのはなんとなく見ていて不愉快ですし、統一感もなく雑然とした印象になりますよね。
以上の理由から靴屋では靴紐を内側に入れているのです。
「大変だからって手を抜いて楽な方法にするの?」という意見は出て来ないことを願います。
メンテナンスしやすいということは、きれいな売り場を維持しやすくてお客様的にも心地良いと思うのです。
試し履きするときはどうしたらいいの?
ためし履きをする際は、元の結び方を気にせずにいつもの結び方をしていただいて構いません。なんなら靴紐を通し直してもいいです。実際に履くことを想定して「靴紐が足りなくて困った」とならないように試し履きをしてくれるのが最終的には店側としても助かります。
お店として一番イヤな試し履きは靴を傷つけそうな試し履きです。
極端に屈伸運動をしたり、脱ぎ履きをするときに靴をこすり合わせたり、かかとを踏もうとしたり。
そういったちょっと困る試し履きの一つに「靴紐を結ばないで歩く」もあります。
靴紐を結ぶのを面倒くさく感じるのはわかりますが、紐を垂らしっぱなしで歩くと靴紐を踏んだり床に靴紐を擦ってしまったりします。店内は清潔に保とうとしていますが、靴紐が汚れてしまうことがないわけではありません。汚れてしまうと売り物として成り立たないので、当然お店としては困ってしまいます。
しっかり結んで試していただくのがお互い一番気持ち良いと思います。
どうやって結ぶの?
通称ディスプレイ結びと呼ばれるこの結び方。こちらは非常にかんたん。
1.根本で輪を作ります
2.先端側を半分に折りたたみ、折れているところを1の輪の中に入れます
3.折れ目をつまんだまま引っ張ると完成
実際に靴を履くときに使えるの?
使えるか使えないかというと微妙です。
そもそもディスプレイすることしか考えていないため、歩く動きに耐えられるほど丈夫な結び方ではありません。段々と解けてしまうでしょう。また、靴紐を内側に入れるということができるのは、ゆとりがある靴ということでサイズピッタリの場合は邪魔になります。靴の内側に入るので不要な靴ずれが起きることも想定できます。
見た目的にはさっぱりとしますが、正直オススメはしないです。
シュータンと靴紐の間に収納するというのはやや合理的ですが、解けやすさとしてはどうなのでしょうか?
結論
ディスプレイ結びは、靴屋とお客さんにwinwinな結び方だが、実際に履くときはあまり使えない。