なぜ夜に靴をおろしてはいけないのか、元靴屋として考えると。

「夜に靴をおろしてはいけない」という言葉があります。
現代では正直ピンと来ない表現です。
この言葉の意味と元となった話はいったいどういうことなのでしょうか。

この言葉の由来は?

街灯が並び、お店も夜までやっていてある程度の明るさがある今とは違い、昔は夜になると真っ暗でした。夜に出かける用事などなく、夜間は基本的に家にいるのが一般的でした。
そんな夜に新しい靴をおろして外に出かけるということは基本的になかったことです。
夜に靴をおろすとすれば、「お通夜など不幸があったとき」など緊急の事態です。縁起が悪いという理由で、「夜に靴をおろしてはいけない」と言われ始めたそうです。

今はあまり関係ないのでは?

今では街は明るく、普通に夜にも出歩きます。
人が夜に出歩いていると「人が亡った」と連想されていたとしても、現代ではあまり共感できません。夜間にコンビニやドラッグストアにも普通に出かけますし、飲食店も営業しています。なんなら仕事終わりに、靴を履き替えておでかけということも十分あります。

やはり夜に靴をおろさないほうがいい

元靴屋だった人間として「夜に靴をおろさないほうが良いのですか?」と聞かれたら、「個人的にはあまりおすすめはしませんね」と答えます。
なぜかというと、試し履きと感覚が違うことが多いからです。

履き初めって大切

「お店で試したときはちょうどだったのになあ」
この言葉を先日友人がつぶやいているのを聞きました。
お店で試し履きをしたときと、履きはじめで差を感じることはありえます。履いている足の状況が違うのですから。具体的に言うと「むくみ」や「足の疲労状態」です。

その友人は、立ちっぱなしで接客をする仕事の人でした。
仕事が終わり、職場の近くの靴屋に寄って、休みの日に履けるかわいらしいパンプスを買ったそうです。そのパンプスを履いて、休日のお昼に出かけた際に、思っていたよりもゆるいということで上の疑問を感じたのです。

友人は立ち仕事で疲労し、むくんだ足でぴったりの靴を、疲労の少ないお休みの日の午前中に履いたことで想定していたフィット感を得られなかったのです。

まとめ

昼間に買った靴を夜におろしてしまうと試し履きとの違和感を感じることが多いかと思います。
サイズが合わなかったら、返品やサイズ交換などの判断になりますが、夜は合わないけど昼は丁度良いということもあります。
お昼の仕事に履くことを想定していた靴の履き初めは、その靴をもっとも活用する時間に行ってほしいと考えています。

夜に履く靴は、夜に買って、夜におろす。
昼に履く靴は、昼に買って、昼におろす。

結果的に、夜に履く靴をお持ちでない方が多いので 夜に靴をおろすのは 個人的にはあまりおすすめはしませんね